探偵の彼に追跡されて…
私は所長から離れようと背を向けると腕を掴まれ所長の胸元へ引き寄せられた。

「こいつ俺の奥さん!」

所長はそこに居たスーツ姿の男性を親指で示し言う。

は? オ、ク、サ、ン? 男性が奥さん?
どういう事????? ひょっとして所長は両刀?
噓!? やだ!? マジで!? ?????

私の頭の中は?マークが沢山踊っている。

「こいつ奥 真司(おくしんじ)俺の秘書さん!因みに俺とこいつは幼馴染で同い年ね!」

その男性は老けているとは違って威圧感はあるけど落ち着いた感じの人で所長と同い年には見えない。

「ここは俺が経営している養護施設。だからここにいる子供たちは俺の子供と同じって事で、子ども達は俺の事パパって呼んでる。それから隣のあれ!も、俺のじぃさん、ばぁさんが達が居る所ね!」

所長が示した少し離れた所にある大きな西洋のお城はこの話の流れだと老人ホームか何かでそこも所長の持ち物と言う事だろう。

所長が社長?????
所長の秘書さんと養護施設で預かっている子供?????
奥さんと子供じゃ無くて!いや、奥さんと子供?????

私頭の中はパニクってる。今にも破裂しそう。だって所長が社長だよ?こんな立派な養護施設や老人ホームを経営してる社長だよ?寝耳に水、誰でも混乱するでしょ!?

「美野里、俺は紛れも無くれっきとした独身だよ!」

「えー じゃ、私が一人勘違いしてたんですか?」

「うん!そういう事」所長は口角をあげて言う。

「所長?私が誤解してるって分かってたならもっと早く教えてくれても良いじゃないですか!?せめて独身って事だけでも…」

「だってさ不倫ごっこも面白いかな?って思ってさ」

はぁ? 不倫ごっこ? 私どこぞの社長と不倫ごっこしてたの?

「………」

私、大変な人好きになっちゃったかも…
でも良かった。所長が独身で!

奥さんは笑いを堪えながら
「秘書の奥です!よろしくお願いします」と挨拶してくれた。

「よ、よろしくお願いします」

「おーい!そろそろ着替えないと子ども達が待ってるよ!?」

いつの間にか一条さん達は園の中に入っていて私達を呼んでいる。

「じゃ、始めるか?」

「始めるって?」

「園では定期的なイベントをしていてあいつ達も参加してくれてるんだ。ここには高校生までの子供達がいるんだ。だからこの時期に学校へ入学をする子達のお祝いを毎年してるんだよ。因みに今日は子ども達も俺のお祝いしてくれるんだ」

「そうなんだ?」

「今夜は美野里ちゃんにもベットでお祝いして貰うよ!」

ベットでお祝い?……

何を意味するのか分かると再び顔が熱くなる。

所長は頬にチュッとキスをすると「あぁ楽しみー!タラッタラタラタウサギのパンツ♪」

だから…パンツじゃなくてダンスだって!

間違えている歌詞をひたすら繰り返してご機嫌に私の手を引いてゆく所長を苦笑して付いて行く。







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