探偵の彼に追跡されて…
笹木のおじさんはここで隠居生活を送っていると言ってたけど、一般人ならこの時間従業員用の服装の筈。

でも笹木のオジサンが着ている服は上質な物である事は見ただけでも判る。多分高級ブランド物。

「美野里は笹木さんが何者か知らなかったのか?笹木さんは〘JOHN JEWELRY〙の会長だよ!」

〘JOHN JEWELRY〙って言ったらジュエリーブランドの由緒あるトップブランドで、王室の方も公の場で必ずと言っていいほど身に付ける言われているあのブランド!?

創立者であるデザイナー、ジョン・ササキが若い頃デザインしたネックレスが海外のオークーションで数十億で取引されたと何かで見た事がある。

あっ確か所長の机の上にあった英国雑誌に載っていたんだ。

私はあの時内容は分からなかったから所長に教えてもらったんだっけ!?

「えっー!!〘JOHN JEWELRY〙の会長?? ってジョン・ササキ?? なの!?」

「アハハハ。私はもう引退したから会長じゃないんだよ! ただの笹木のオジサンだよ!」

引退したからってただのオジサンにはなりませんから!!

「でも、そんな凄い人がなんでうちの父と知り合いなんですか?」

「私の母方の祖母が秋田に住んでいてね。小さい頃夏休みになると遊びに行っていたんだよ。その時近所に住んで居たのが美野里ちゃんのお父さんでよく走り回って遊んだよ。遊んだ後の塩むすびが美味しくてね…」

笹木のオジサンはそう話してくれると遠くを見て微笑んで昔を懐かしんでるようだった。

「へぇそうだったんですね? じゃ今年の新米が採れたら塩むすびを握って持ってきますね?」

「そりゃー楽しみだ」




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