探偵の彼に追跡されて…
「百瀬さん?」
「そうじゃないでしょ?」
「え?」
確か所長は百瀬さんの筈では? 違いましたか?
「沙汰郎でしょ!」
「えー… なぜ下の名前なんでしょ?」
「なぜ? っていつ迄も所長っておかしいでしょ? 婚約者なんだからさ!」
「婚約者? 昨日もそんな事言ってましたけど、私婚約した覚え無いですけど? プロポーズもされて無いし…」
そうだよプロポーズなんてされてないし!
そりゃ好きだって言われたよ? ベットでも何度も好きだって言われた。 でもさ好きって言ったから婚約者したって事にはならないでしょ?
「俺はプロポーズされたけど?」
「はいー?」
「だって昨日さバイク…」
「所長! そのお話は結構です!」
私は直ぐに所長の話を遮った。
また昨日のバイクでの話をしようとしたんでしょ!
冗談じゃない! あんな恥ずかしい話を蒸し返して欲しくないっつの!
思い出しただけで顔が熱くなるわ!
「じゃーほら早く呼んで!」
「えーと…さ…さた…沙汰郎さん?…」
「さんは要らない沙汰郎だけで良いよ」
あはは…それは無理です。
「ほら呼んでよ」
「えっー」
「ほら早く!呼んでくれないと俺拗ねちゃうよ?」
所長は頬杖をついて楽しそうに微笑む。
もう『なにが拗ねちゃうよ?』よ!
楽しんでるじゃない!?
「サタロウ」
「ん?聞こえない!」
もう!意地悪!
「沙汰郎…」
「はい、良く出来ました」と言うと私の頭を撫でてくれた。
私は幼稚園児か!?