探偵の彼に追跡されて…
事務所を出ると渉君の運転する白いワンボックスカーの後部座席に所長と私は乗りビューティーレディース化粧品本社へ向かう。

ビューティーレディース化粧品の本社ビルは大手町に有り私達は正面玄関の見える場所に車を止め暫く車の中で太郎さんの出て来るのを待っていた。

この車は所長の持ち物らしいがほとんど所長は使わない為渉君が私物化してダッシュボードの上にはガチャガチャで手に入れた今人気のSFの小さな人形が沢山置かれている。

先週も渉君は『また大人買い。ガチャってやっと出たんですよ。子供の頃沢山欲しくてもなかなか買って貰えなかった物を働くようになって誰にも遠慮しないで買えるなんて大人買いの醍醐味ですよね』と嬉しそうにSFのフィギュア人形を見せてくれた。

欲しいのが有るならメーカーからまとめて買えば、早て手に入ってお金もかえって掛からないと思うのだが、それではダメらしくあちこちで見つけてはガチャガチャを回してるらしい。

渉君は『いつ出る分からないのが良いんですよ!手に入った時の喜び! 好きな女の子を手に入れた様な喜びが有るんですよ!』と、目を輝かせて話していた。

所長といい、男の人って皆んなこう言う子供みたいなところあるのかな?…
私には無駄遣いとしか思えないけど…
それにしても暑い…

「渉君…悪いんだけどもう少し…エアコン下げくれるかな…」

「美野里さんコート脱いだら? それにコートは車に置いて行った方が良いよ邪魔になるからさ?」

私は幸子さんにメークと髪をセットしてもらってから恥ずかしくてずっとダウンコートを着ていた。

渉君の親切な言葉にも私は応じる事なく「大丈夫…」と返事をした。

その時「行くぞ!」と所長が発し太郎さんが出て来た事が分かった。

太郎さんは身長175,6ってところだろうか? なかなかのイケメンで、47歳より若く見える。部長というだけあって仕事が出来そうなタイプだ。

あの人が本当に今回の漏洩に関わっているのだろうか…

私と所長は車を降り太郎さんを尾行する。

渉君は車で少し離れて尾行する。





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