【完】音にならない“好き”をキミだけに。
廊下に出ると佐倉が1人で椅子に乗って上の方の飾りつけをしている姿が目に入った。
危ないよね、あれ。
落ちたら危ないし、あとさ……スカートから見えそうで俺はヒヤヒヤですよ。
「佐倉、貸して。俺やるから」
「か、加賀谷くん⁉」
なんでそんなに驚いてるの?
「加賀谷くんです」
「そうだよね。ごめん…。あの、わたし大丈夫だよ」
「俺が大丈夫じゃないの。いいから早く、降りて」
佐倉は俺の言葉を理解してないようで、納得のいってない顔をして椅子から降りた。
さすが天然、鈍感……。
「ごめんね」
「ん?なにが?」
「加賀谷くん…サボってたのに手伝わせちゃって」
うん、待ってよ、佐倉。
マジかマジか、マジか……。