【完】音にならない“好き”をキミだけに。
006*言葉で伝えます。
#1
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佐倉と付き合ったのは去年の秋。
距離が近付いたのは、いつからだろう。
俺が佐倉のことを好きになったのはいつからだろう。
一目惚れってことも大いにありえると思う。
友達と笑いあってる佐倉に一目惚れ。
なんて、あながち間違ってもいないかもしれない。
でも、決定的な何かがあったのかと言われれば、俺はあの日を思い出すだろう。
*
高校に入学して2週間が経った頃。
まだクラスメイトの名前と顔が一致していないまま行われる、新入生による宿泊研修。
みんなの仲を深めようってことらしい。
各クラス1つ出し物をすることが決まっていて、俺は中心となってする事は苦手だからサポートに回るつもりだった。
……のに、
「じゃあ、実行委員は週番の仕事を何もしていない加賀谷と、それを支えてくれた佐倉の2人に任せようと思います」
最悪な理由で実行委員をするハメに。