【完】音にならない“好き”をキミだけに。
006*言葉で伝えます。

#1


#1


佐倉と付き合ったのは去年の秋。


距離が近付いたのは、いつからだろう。


俺が佐倉のことを好きになったのはいつからだろう。


一目惚れってことも大いにありえると思う。


友達と笑いあってる佐倉に一目惚れ。

なんて、あながち間違ってもいないかもしれない。


でも、決定的な何かがあったのかと言われれば、俺はあの日を思い出すだろう。







高校に入学して2週間が経った頃。


まだクラスメイトの名前と顔が一致していないまま行われる、新入生による宿泊研修。


みんなの仲を深めようってことらしい。


各クラス1つ出し物をすることが決まっていて、俺は中心となってする事は苦手だからサポートに回るつもりだった。


……のに、


「じゃあ、実行委員は週番の仕事を何もしていない加賀谷と、それを支えてくれた佐倉の2人に任せようと思います」


最悪な理由で実行委員をするハメに。


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