【完】音にならない“好き”をキミだけに。
「俺、サボってないんですけど……」
ちゃんと授業終わったら黒板消したし、移動教室の時は鍵も閉めてた。
なのになんで俺が実行委員しないといけないんだよ。
ついさっき、自分はサポートに回ると決めたばかりなのに。
「いい思い出作れるぞ、きっと!」
笑顔でそう言う担任にため息が出た。
だって、いい思い出になるためには俺達が頑張らないといけないことが大前提にあって、それを俺がするなんて無理な話だよ。
しかも、“佐倉”って誰?
「佐倉は実行委員することに問題ないか?」
「はい、大丈夫です!」
後ろから聞こえてきた声。
振り返ってみると、俺の席とは離れたところに座る小さい女子。
見たことあるかって聞かれれば、ない。