【完】音にならない“好き”をキミだけに。

＊

その日の放課後、出し物を何にするかという話を佐倉とすることになった。


誰もいなくなった教室で、初めて顔を合わす。


……緊張しないわけないですよね。はい。


「えっと、佐倉楓生って言います。よろしくお願いします」

「加賀谷真白です。こちらこそよろしく」


軽く自己紹介した後、訪れる沈黙。


気まずい。とても。


「出し物何にするかいくつか候補出してみんなで多数決取るのはどうかな？２人の意見だけじゃなくてみんなの意見も聞きたいなって思って」

「うん。いいと思う」

すごいと思った。

早く決めてしまいたい俺とは違って、クラスのみんなが楽しめるようにって思いが伝わってくる佐倉の言葉。