【完】音にならない“好き”をキミだけに。

#2



#2


「真白くん、そろそろ行動移さないとヤバくないですか?」


少し朝晩が肌寒くなってきた、秋———


昼休み、教室で呑気にお弁当を食べていた俺をじっと見ながら、敦弥が言う。


何のことを言ってるかなんて、聞かなくても分かる。

分かるけど、敦弥に色々言われるのはちょっと嫌だ。


「くん付けして呼ぶなよ。気持ち悪い」

「話しそらそうとしても無駄だから」

「……うるさいな、分かってるよ」


分かってるけど、行動に移せない年頃なんですよ、俺は。


「知ってる?…佐倉って結構人気あるよ」

「知ってる」

「なら早くしろよ」

クラスでも、他クラスでも、なんなら先輩にも佐倉は人気がある。


小さくて、可愛くて、守ってあげたくなる佐倉は、つい一ヶ月ほど前に行われた体育祭で可愛い衣装を着てダンスをした。


しかもダンス中にコケるという、何とも可愛らしい出来事があり、それも人気になった理由の1つだろう。


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