【完】音にならない“好き”をキミだけに。


“可愛い”とか。

今、言うことじゃなかったよな。


毎日、常に佐倉が可愛いとは思ってるけど……。


タイミングをミスしてしまった。


またも訪れる沈黙。


「あのね、」

その沈黙を破ったのはまたしても佐倉だった。


「加賀谷くんって…、好きな人いる?」

「え?」

「いや、あの、ね。ごめんなさい。何でもない…」

「いるよ。好きな人」

目の前に。今、俺の前で慌ててる子が好き。


「そうなんだ…」

俺、バカだから期待するよ。

俺に好きな人がいるって分かって、悲しい顔するなんてさ。


佐倉も俺と同じ気持ちなのかなとか疑いそうになる。

……そんなはずないのに。


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