【完】音にならない“好き”をキミだけに。


「佐倉……」

俺の声は、君に届かないんだね。




「真白、昼ごはんどこで食べる?」

「あ、もう昼か…」

授業中、寝てたわけでもサボってたわけでもない。

ただ、ボーっとしていたらしい。

「さく…あ、何でもない」


毎週火曜日と木曜日は、佐倉と2人でご飯を食べる約束をしてて、今日は木曜日だ。


4時間目の授業が終われば、お弁当箱を持って俺の席へ笑顔でやってきていた佐倉はもういない。


……いないよ、敦弥。


「……教室でいいか」

「ごめん、敦弥。1人で食べる」


敦弥が俺の事心配してくれてるのは分かる。

分かるから辛いんだ。


朝も今だって実感したのに、辛い。

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