【完】音にならない“好き”をキミだけに。
「……っ」
視界が滲んだことに気付かないフリをした。
昼ごはんはやっぱり敦弥と一緒に食べよう。
じゃないと、俺の心が持たないです。
そんな気持ちのまま空き教室から出て、教室に戻る。
その途中、廊下で話してる佐倉の姿を見つけた。
その隣には、名前こそ知らないが男子生徒が。
確か隣のクラスだった気がする……。
——佐倉が笑ってる
嬉しいことなのに悲しかった。
俺は佐倉を笑顔に出来なくて、泣かせてばっかりだったのに。
簡単に佐倉を笑顔にできるあんたが羨ましい。