【完】音にならない“好き”をキミだけに。
今更出来ないことの想像をしても意味がない。
だけど、嫌だった。
俺以外が佐倉の隣にいることが当たり前になることが。
誰かに笑いかけるんだと思えば、胸がギュッと傷んだ。
でも、その痛みの理由を彼女に伝える事はもう許されなくて、ひとりでバカみたいにこの嫉妬を抱えなくちゃいけない。
悲しいのか、悔しいのか、苦しいのか。
今、俺が思う気持ちは何なのか分からないけど、とりあえず俺は2人から目を逸らした。
*
「加賀谷くん、そろそろ授業戻りなさいよ」
結局、俺は心が病という謎の理由で保健室で休んでいた。
先生もサボりだと分かっているが、俺の顔が相当酷かったのか何なのか分からないが、休ませてくれた。
1時間休むと、教室に帰れと声をかけられてしまう。