【完】音にならない“好き”をキミだけに。
「生徒をサボらせるのはどうかと思うけど…、わたしが送って行くから加賀谷くんは道案内してくれる?」
担任に住所聞いて、カーナビに入力して下さい。今のご時世、カーナビくらいついてるでしょ。
とは、言えれなかった。
真壁からの鋭い視線のせいで。
「分かりました…」
いいのかな。俺が佐倉の隣にいても。
今は眠ってる佐倉だけど、起きた時どんな反応をみせるだろうか。
隣にいるのが俺で悲しむだろうな。
それでも俺は、佐倉の隣にいれることが嬉しいと思ってしまうんだ。
ごめん、ごめんな……。
*
「そこの信号を左に曲がってたら着きます」
「はい、到着。じゃあ、後はよろしくね」
……ん?
先生まで何言ってんの?
「俺は帰りますよ。先生、お願いします」
「これから職員会議なの。早く学校に戻らないといけないから頼んだよ!」
先生は無理やり俺の背中に佐倉を乗せ、右手には佐倉の鞄から取り出した鍵を持たせ、左手には俺と佐倉の鞄を持たせた。
そしてそのまま車は発進。
俺は悪くない。悪いのは、病人をほったらかしにした、先生なんだから。