【完】音にならない“好き”をキミだけに。


「生徒をサボらせるのはどうかと思うけど…、わたしが送って行くから加賀谷くんは道案内してくれる?」


担任に住所聞いて、カーナビに入力して下さい。今のご時世、カーナビくらいついてるでしょ。

とは、言えれなかった。


真壁からの鋭い視線のせいで。

「分かりました…」

いいのかな。俺が佐倉の隣にいても。

今は眠ってる佐倉だけど、起きた時どんな反応をみせるだろうか。


隣にいるのが俺で悲しむだろうな。


それでも俺は、佐倉の隣にいれることが嬉しいと思ってしまうんだ。

ごめん、ごめんな……。





「そこの信号を左に曲がってたら着きます」

「はい、到着。じゃあ、後はよろしくね」

……ん?

先生まで何言ってんの?

「俺は帰りますよ。先生、お願いします」

「これから職員会議なの。早く学校に戻らないといけないから頼んだよ!」

先生は無理やり俺の背中に佐倉を乗せ、右手には佐倉の鞄から取り出した鍵を持たせ、左手には俺と佐倉の鞄を持たせた。


そしてそのまま車は発進。


俺は悪くない。悪いのは、病人をほったらかしにした、先生なんだから。


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