【完】音にならない“好き”をキミだけに。
「……お邪魔します」
何度か来たことのある佐倉の家。
鍵を鍵穴に差し込み、ドアを開ける。
久しぶりに来た佐倉の家は、違和感を感じてしまった。
玄関も、リビングも、前と同じように見えるけど何かが違う。
その何かを今の俺には考える余裕がない。
早く佐倉をベッドまで運ばなければならないんだから。
「……失礼します」
佐倉の部屋に少し躊躇しながら入る。
俺の目に飛び込んできたのは、机の上に広がる俺と撮った写真やプリクラ。
2人とも恥ずかしくて枚数は少ないものの、置いてある。
と、とりあえず、佐倉を寝かせないと。