【完】音にならない“好き”をキミだけに。
「……加賀谷、くんっ」
ベッドの上にゆっくり佐倉を移動させ、離れようとした俺の制服の裾を彼女はギュッと握った。
握りしめた佐倉の目は瞑られたまま。
……なんで。
なんで、佐倉はこんなことすんの。
無意識で、俺の名前を呼んで、制服を掴んで。
「こんなの諦めきれねーじゃん」
佐倉を手をそっと制服から離して、俺は部屋から出た。
「好きだよ、佐倉…」
———この言葉を残して。