【完】音にならない“好き”をキミだけに。
#2
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例えば呼吸をするように、俺は佐倉のことを考えてる。
つまり何が言いたいのかというと、俺は佐倉がいないと生きていけないということです。
あ、いや、ちょっと訂正。
生きているように生きられないということかな。
佐倉が俺の隣にいない毎日は色あせていて、それでいて、辛い。
朝、教室の自分の席に座っていた俺の耳に入ってきたのは佐倉を心配する真壁の声と、それと
「昨日、楓生ちゃんに会いに来たら帰ったって聞いてビックリしたよ!」
佐倉が昨日、廊下で話してた男の声。
「体調悪くて…、ごめんね?」
「ううん、いいよ!
今日、一緒に帰れる?」
……ほんと、朝からイライラする。
笑顔でいる佐倉も、大きな声で話す男にも。