【完】音にならない“好き”をキミだけに。
『俺みたいなやつが1年の教室に行ってみろ。怖がられるわ』
『知らないから……。なら黒染めでもなんでも買ってきてすればいいだろ』
『自分は彼女と楽しく準備するのに、俺のことは手伝ってくれないんだ。どうせ、どうせさ真白は佐倉と花火見るんだろ?あーあ、俺は1人で悲しく花火見なきゃいけなんだ。そっか……』
なにこいつ。
敦弥ってこんなに面倒くさいやつだったけ。
『ついていくだけだから。なんもしないよ、俺』
『ありがとう、真白!じゃあ、佐倉のところ行っていいよ』
敦弥とのやり取りを思い出して、ため息をつかずにはいかない。
敦弥は中学生の時からその子のことを好きならしい。
委員会が同じで好きになったけれど、彼女には彼氏がいて報われることない片思いだったらしいが、その彼氏と今は別れてフリー。
このチャンスを無駄にするわけにはいかない!と気合十分な敦弥を俺は陰ながら応援しようと思っていた。
…陰ながらね。
だから、わざわざ出向くなんて陰ながらっていう条件に反してると思うんだよね。