【完】音にならない“好き”をキミだけに。
「加賀谷くん、頑張ってね〜」
「…おぉ、ありがとう」
連れていかれる途中、声をかけてくれたのは隣のクラスの女子。
何回か話したことあったはず。
体育は隣のクラスと合同で行われるから、こういうことあるんだよな。
まさか、俺に声がかけられるとは思っていなかったけど。
隣のクラスってことは、佐倉と話していたあの男もいる。
「……帰りたい」
「敵チームに、あいついるよ。ボコボコにしようぜ」
「まじで?やる気出てきたわ」
——やる気はあった。
それはとってもとっても。
なんなら、サービスエースをとってやるよってくらいのやる気。
でも、やる気に強さは伴わないことが判明した試合でした。
ぼろ負け。いや、でもこれは、あいつに俺が負けたわけじゃなくて、あいつのチームにバレー部がいたからってことにしとこう。