【完】音にならない“好き”をキミだけに。


俺達の試合の後は、女子が入るらしい。


早くコートから出ろっていう視線が痛い。


「佐倉と真壁いるじゃん」

「…そうだね」

「見ねーの?」

「見ない」


嘘。どうせ、気が付いたら目で追ってるんだよ。

無意識に見てしまう。





「ねー、さっき聞いたんだけどさ、佐倉さんと別れたって本当?」

体育館ステージの上に敦弥と座っていたら、試合が始まる前に声をかけてきた女子がまた話しかけてきた。


「本当だよ…」

「そっか」

「でも、まだ好き」


好きなんだよ、すっごく。


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