【完】音にならない“好き”をキミだけに。
俺達の試合の後は、女子が入るらしい。
早くコートから出ろっていう視線が痛い。
「佐倉と真壁いるじゃん」
「…そうだね」
「見ねーの?」
「見ない」
嘘。どうせ、気が付いたら目で追ってるんだよ。
無意識に見てしまう。
*
「ねー、さっき聞いたんだけどさ、佐倉さんと別れたって本当?」
体育館ステージの上に敦弥と座っていたら、試合が始まる前に声をかけてきた女子がまた話しかけてきた。
「本当だよ…」
「そっか」
「でも、まだ好き」
好きなんだよ、すっごく。