【完】音にならない“好き”をキミだけに。



俺の言葉を聞いてすぐに彼女は「じゃあ、またね」と、自分のクラスメイトがいる場所へと帰っていった。

「あーあ、新しい彼女ゲット出来るチャンスだったのに」

「いらない」

そんなの、いらない。

“彼女”じゃ意味ないから。

俺は“佐倉”じゃないと意味ない。


「それよりもさ、佐倉に試合するなって言って」

何言ってんの?みたいな顔で見てくるな…。


「多分だけど、体調あんま良くない」

「そう?」

「うん。昨日も病み上がりだったし。早く」

「……遅かったっぽいよ」


敦弥のその言葉を聞く前に俺は走り出していた。


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