【完】音にならない“好き”をキミだけに。


「楓生ちゃん、大丈夫!?」

「…触んないで」

「え、」


ごめん、佐倉。無理だ。

君を助けないなんて俺には無理。

他の奴が触ってるところ見るの嫌だ。


「加賀谷くん…」

そんな悲しそうな顔しても、俺は佐倉から離れないよ。


「保健室に連れて行きます」

「きゃっ!」

俺がしたのはいわゆる“お姫様抱っこ”と呼ばれるもの。

もちろん、体育館内はどよめく。


『別れてるんだよね?』

って声が聞こえなくもないけど、今はそれを気にしてる場合じゃない。

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