【完】音にならない“好き”をキミだけに。
走って保健室に連れていきたいけど、何かの拍子に佐倉を落としてはいけないのでやめた。
安全にゆっくり運ぼう。
体育館を出て、保健室に続く廊下を歩く。
「歩けれるから降ろしてください…」
「ご飯、食べてる?」
佐倉の言葉は無視して、質問する。
だって、異常なくらい軽い。
「ダイエットしてて…」
「必要ないと思います」
「必要なんです。それより降ろして」
「嫌だよ。逃げるでしょ」
図星だったのか、何なのか、佐倉は答えなかった。
それからしばらく沈黙が続く。
先に言葉を発したのは佐倉。
「助けてくれなくていいですって言った」
「俺はその言葉に返事したつもりないよ。
佐倉がそう言うのは、他に助けてくれる人が出来たから?あいつとか」
「…あいつ?」
「隣のクラスの最近よく話してる、あいつ。そいつがいるから俺と別れたの?」
完全に嫉妬。ヤキモチ。
かっこ悪い、俺。