【完】音にならない“好き”をキミだけに。
「泣かせてごめん。うざいし、キモいと思われてると思うけど…好きでいさせて」
佐倉の泣いてる理由は俺には分からないけど、その理由を分かりたいと思うよ。
*
「失礼します」
保健室に連れてきたのはいいが、先生はいなかった。
「ベッドでいい?」
「ソファーで大丈夫です」
「分かった」
少し大きめのソファーの上に佐倉を降ろして、逃げないよう手を握る。
佐倉はもう泣いてはいなかった。
「どうして…?」
「え、」
「分かんないよ…。なんで?好きって気持ち無くなるかもしれないのに、加賀谷くんはそんなふうに……」
「無くならないよ」
佐倉の言葉を遮るように、俺は言葉を発した。
「これから先のことなんて分からないじゃん。もしかしたら、わたしより好きな人が出来るかもしれないのに…」
「そんな日、来ないと思う」
だって俺、佐倉しか興味無いから。
「って、分からないから佐倉は言ってるんだよね。でも、本当に俺、想像出来ないんだよ。自分が佐倉のこと好きじゃなくなる日」