【完】音にならない“好き”をキミだけに。
「そんなの…」
「うん。分かんないよね。ごめん。俺、もう行くね。ゆっくり休んで」
佐倉に対する俺の気持ちを、本人に否定されるのが嫌だったから逃げた。
俺自身の気持ちを、他の人に決められるなんて嫌に決まってる。
「……信じるの怖いよっ」
1人になった保健室で、佐倉が泣きそうな声で言ってたことを、俺は知らない。
どうして、俺はずっと、ずっと、彼女の気持ちに気付けれなかったんだろう。
何回、後悔しても遅すぎるのに———。