【完】音にならない“好き”をキミだけに。


「あの、敦弥くんから聞きました。
楓生先輩と別れたんですよね……?」

「紫乃ちゃん、今、時間ある?」


本当だったら、俺の口から別れたことを紫乃ちゃんに伝えていなくちゃいけなかったんだろうけどごめんね。



移動してきた場所は、中庭。

誰もいなくて静かに話をするのには最適だ。

ベンチに座って、息を吸い込んだ。


「二週間くらい前にね、別れたんだ。紫乃ちゃんに言うの遅くなって申し訳ないです」

「いやいや、わたしこそデリカシーなく聞いてしまってごめんなさい。あの、別れた理由って…」

「俺の気持ちが分からなくなったって言われたよ」

「それ絶対違うと思います。だって、楓生先輩はわたしと話す時いつも言ってたんです。真白先輩はすごく気持ちを伝えることを大切にしてくれてる人だって」


……俺、そんなこと直接言われたことないよ。


きっと佐倉のことだから、恥ずかしくって言えなかったのかな。


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