【完】音にならない“好き”をキミだけに。


「…じゃあ、教室戻ろうか。また、報告します」


俺が紫乃ちゃんに伝える前に、敦弥から色々情報いってると思うけどね。


「真白先輩、また話しましょうね」

「うん。話そうね、4人で——」


俺と紫乃ちゃんの教室は棟が違う。

だから、ここでお別れ。


「敦弥くんに今日一緒に帰ろうってわたしが言ってたって伝えてもらってもいいですか?」

「紫乃ちゃんから言ってあげた方が喜びそうだけど……」

「恥ずかしいんで、今日のところはお願いします」


紫乃ちゃんは俺に今日一番の笑顔を見せて、教室に戻っていった。


敦弥が喜ぶ顔を見るのは嫌だけど、伝えないのは紫乃ちゃんに対して申し訳ない気持ちが働くからしっかりと伝えさせてもらおう。


< 156 / 235 >

この作品をシェア

pagetop