【完】音にならない“好き”をキミだけに。
*
その日の放課後、ウキウキしながら紫乃ちゃんの教室に向かっていく敦弥。
その姿を見ながら少しだけ羨ましいと思ってしまう。
佐倉はまだ教室にいて、机に向かって何かを書いてるみたいだ。
俺はどうしようか。
帰ろうか、帰らないか。
もちろん、話しかけるなんてこと出来ないんだけど。
帰る前に図書館に寄って、数学の参考書を借りて帰ろうと思ってたんだ。
「また、明日」
小さな、小さな俺の声は、君に届くことはない。