【完】音にならない“好き”をキミだけに。
「南原くん、佐倉は俺と花火見るので諦めてください」
「あぁ、加賀谷くん。いたんですか」
「…………」
いたよ。いましたよ。
南原くんが佐倉に話しかける前からずっといましたよ。
あと、俺が頭の中で考えた言葉と同じこと言うのやめてください。めっちゃ怖いです。
「本当に加賀谷くんと見るんですか?
だって、加賀谷くんと佐倉さん不釣り合いですよ」
「……南原くん、気持ちは嬉しいです。でも、ごめんなさい。花火は加賀谷くんと見ます」
ペコッと丁寧にお辞儀をした佐倉。
南原くんはまだ納得がいかないのか
「佐倉さん、男の趣味おかしいです。加賀谷くんなんて、何もできないじゃないですか」
そんなことばっかり言う。
「何もできない俺だけど、佐倉が選んだのは南原くんじゃなくて俺なんだよ。お前じゃねーの。不釣り合いなのも分かってる。クラスのみんなにも奇跡って言われてるし」
クラスのみんなの言葉はまだ愛が多少あるんだ。
だけど、南原くんの言葉は槍。
俺の胸に突き刺さる。