【完】音にならない“好き”をキミだけに。
「借りようと思ったけど、何借りていいか分かんねーな…」
図書館に来て、10分。
“数学・参考書”
と書いてある張り紙のある本棚の前に立っていた。
今やっている単元の参考書借りればいいか。
「…懐かしい」
そういえば、別れる直前、ここで佐倉と写真撮ったな…。
その時撮った写真は、今も俺のスマホのカメラロールにしっかりと残っている。
消すものか。絶対。
佐倉と一緒に撮った写真の枚数は少ないけれど、1枚1枚が大切な写真だ。
その、大切な写真を消すことは俺には出来ない。
だって、消してしまったら本当に終わってしまったかのように思えてしまうから。
……佐倉の中ではもう完全に終わっているのかもしれないけど、終わらせない。終わらせたくない。