【完】音にならない“好き”をキミだけに。
とりあえず、数学の参考書だけを借りて、図書館から出る。
「……あ、」
中靴から外靴に履き替えて校門に向かって歩く俺の目に入って来たのは佐倉だった。
外廊下に1人立っている。
その表情は遠くてよく見えないけれど、どうしてか俺には泣いているように見えたんだ。
教室で作り笑いを一生懸命浮かべる君を、俺はどうしたら救える?
心からまた佐倉が笑うには、きっと、今君が抱えているものが消えないといけないんだろう。
その手助けを、俺はしたいよ。