【完】音にならない“好き”をキミだけに。
どうして、佐倉がここにいるのか、その理由はちゃんと本人から聞かないといけないと思う。
3階の受付で、佐倉の病室番号を聞く。
「……よし」
閉められたドアを開けようと自分自身に気合いを入れた時、
「あの、」
声をかけられた。
ビックリして声のした方を向くと、母さんと同じくらいの年齢の女性が立っていた。
「もしかして、加賀谷くんですか?」
「あ、はい…。そうです、えっと…」
「佐倉楓生の母です」
やっぱり、そうだ。
この人の出す雰囲気が、佐倉によく似ている。