【完】音にならない“好き”をキミだけに。
「頭がいい南原くんなら分かると思うけど、南原くんの言葉で俺も佐倉も傷ついてんだよ」
「………」
何も言わない南原くん。
「俺のことは何でも言えばいいけどさ、好きな佐倉のこと傷つけるのは違うだろ。今まで南原くんに直接俺が何かを言うのは悪いと思ってたから言わなかったけど、そろそろやめて」
傷つかなくていい佐倉が傷つくんだよ。
“不釣り合い”
この言葉は、いい言葉じゃない。
確かに俺と佐倉は不釣り合いだ。誰がどう見たって。
「関係ないだろ。釣り合うとか釣り合わないとか。じゃあ、釣り合ってなかったら付き合えねーの?釣り合ってないカップルなんてこの世の中にごろごろいるだろうな。みんなそういう不安抱えてんだよ」
「……僕は佐倉さんを傷つけたいわけじゃないんだ。ただ、気持ちを知ってほしかった」
「うん。ちょっと傷ついたけど大丈夫だよ。あとね、本当に嬉しかった」
南原くんに笑顔を向けた佐倉はすごいと思う。
俺は挑戦的な態度でしか、南原くんに話ができなかった。
南原くんは俺にも謝罪の言葉を残し自分のクラスへと帰って行った。
「……ふふ」
ここで笑う佐倉が分かんない。