【完】音にならない“好き”をキミだけに。
*
わたしは、学校をしばらく休んで、病院で治療することになった。
お母さんは毎日病室に来てくれて、お父さんもたまに来てくれる。
最近は、喧嘩することも減ったみたいで嬉しい。
「楓生、これ」
お母さんがわたしに手渡してくれたのは、4つ折りにされたルーズリーフ。
「何これ?」
「見たら分かるから」
……何だろう。
ルーズリーフを開いて、わたしの目に写ったのは
『佐倉へ』
少し汚い字で書かれている文字。
汚いけど、見たことある字で…っ。