【完】音にならない“好き”をキミだけに。
「かっこよかったよ、加賀谷くん。
なんかね、男らしかった」
「……っ」
南原くん、ありがとう。
君のおかげで、佐倉に“かっこいい”と言われてしまった。
「加賀谷くんはわたしと釣り合ってないって南原くんに言ったけど、わたしはそうは思わないよ。だって、加賀谷くんはいつもわたしのこと1番に考えてくれて優しくしてくれる」
「………」
「ありがとう。加賀谷くんと付き合えれてわたしは幸せです」
泣きそうだ。
「じゃあ、中の準備あるから行くねっ!」
逃げるように教室に入っていく佐倉の後ろ姿が、少しだけぼやけたこと。
どうか彼女に気づかれていないことを願った。