【完】音にならない“好き”をキミだけに。


「お母さんとお父さんがよく喧嘩するようになったのをきっかけに、もしかしたら加賀谷くんともあんな風に距離が出来ていくのかなって考え始めて。考えましたら止まらなくなったの」

「そっか…」

「加賀谷くんの伝えてくれる“好き”が分からなくなった。どんな気持ちで返せばいいのかも分からなくなった。

だから、さよならを告げた」

でもね、加賀谷くんが話しかけてくれる度、助けてくれる度、嬉しくて泣きそうだったんだよ。


素直に言葉を伝えてくれた時も、わたしは信じられなくて酷いことたくさん言ってごめんね。

傷つけてごめんね。


「好きです……っ」

もう加賀谷くんのこと傷つけないから、伝えさせて下さい。


「ずっと、ずっと、大好き……わっ!」

急に暗くなった視界。

加賀谷くんに抱きしめられたと気付いたのはそのせいだ。


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