【完】音にならない“好き”をキミだけに。





それから1週間、


「教室入るの、少し緊張するかも…」

朝から不安そうな顔をしている佐倉と一緒に登校してる。

佐倉が隣にいるってだけで、幸せなんだけど、どうしよう。

俺は佐倉の左側を歩いて、しっかりと手を握る。


手を握って歩くことを、佐倉は嫌がっていたように思えないことはないけど、とりあえず無視で。


小さい声で「恥ずかしい…」って言ってたから、学校が見えてきたら離そうかなって考え中。離したくなくなって握ったままだったらごめんなさい。


「大丈夫だよ。俺も真壁も敦弥もいる」

「そうだね。加賀谷くん、勉強教えて…ね?」

「………任せて」

「すごい間が空いてた気がするけど、ありがとう」


ちなみに、図書館で借りた数学の参考書は、1度だけ開いただけで読まずに閉じた。何書いてるか分からなかったわけじゃないよ?


……違うからね。


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