【完】音にならない“好き”をキミだけに。
*
それから1週間、
「教室入るの、少し緊張するかも…」
朝から不安そうな顔をしている佐倉と一緒に登校してる。
佐倉が隣にいるってだけで、幸せなんだけど、どうしよう。
俺は佐倉の左側を歩いて、しっかりと手を握る。
手を握って歩くことを、佐倉は嫌がっていたように思えないことはないけど、とりあえず無視で。
小さい声で「恥ずかしい…」って言ってたから、学校が見えてきたら離そうかなって考え中。離したくなくなって握ったままだったらごめんなさい。
「大丈夫だよ。俺も真壁も敦弥もいる」
「そうだね。加賀谷くん、勉強教えて…ね?」
「………任せて」
「すごい間が空いてた気がするけど、ありがとう」
ちなみに、図書館で借りた数学の参考書は、1度だけ開いただけで読まずに閉じた。何書いてるか分からなかったわけじゃないよ?
……違うからね。