【完】音にならない“好き”をキミだけに。
教室の前まで来て、佐倉は1度立ち止まった。
「…あの、手をギュッと握ってほしいです」
何日も学校を休んでいたら、そりゃあ誰だって教室に入りにくくなるよな。
手を握ることで、佐倉に勇気を送れるならずっと握ってるよ。
小さく震える佐倉の手を強く強く握りしめた。
「佐倉!!おはよう」
教室に入って、すぐ気付いたのは敦弥。
大きな声を出すから、教室にいたクラスメイトみんなの視線が佐倉に集中的に集まる。