【完】音にならない“好き”をキミだけに。
「加賀谷先輩!?」
……え、なに。
俺、なんか知られてるのかな?
あとさ敦弥、顔が怖いっす。
「わたし、佐倉先輩と加賀谷先輩憧れなんです……!!いきなりこんなこと言われて気持ち悪いかと思うんですけど」
「……憧れ、って?」
「覚えてないかも知れないんですけど、入学したばっかりの頃、わたし佐倉先輩にぶつかって怪我させちゃったことがあるんです」
……あ、思い出した。
その時の子って紫乃ちゃんだったんだ。
「覚えてるよ。大丈夫だった?」
「わたしは全然大丈夫でした!あの時も佐倉先輩はわたしのことずっと心配してくれてて……。保健室で、加賀谷先輩は佐倉先輩に声もかけずにただ隣に立ってただけで、なんで何も言わないんだろうって疑問でした」