【完】音にならない“好き”をキミだけに。
佐倉も紫乃ちゃんに聞いてくれたようだけど、何も言ってはくれなかったらしい。
佐倉に言わないのに、俺に言うわけないよね。
「俺、帰った方がいいかな……」
女子2人が前を歩き、男子2人並んでその後ろをついていく。
敦弥は2人に、主に紫乃ちゃんにだけど、聞こえないような音量で呟いた。
「お前がこうしろって言ったはずだけど」
「だって、紫乃ちゃん話してくれないし。怒ってるし、なんかもういいかなって…」
「え、」
「帰る」
「アホなこと言ってないで、早く行くよ。あの2人、歩くのちょっと早い」
嫌だという敦弥を無理やり引っ張って、目的地のショッピングモールへと着いた。
……泣きそうな声だったな、敦弥。
そりゃあ、そうなるよな。