【完】音にならない“好き”をキミだけに。
「………」
「でも、その時に見せた佐倉先輩の表情が凄く嬉しそうだったんです。お似合いだなって思いました。言葉がなくても、佐倉先輩には加賀谷先輩が心配してる気持ちが伝わってて、素敵でした」
他人から“お似合い”なんて言葉聞くこと、ないと思ってた。
「言葉に出して伝えることが全てじゃないんだって思ったんです……」
「紫乃ちゃん、ありがとう。俺も佐倉も嬉しい」
俺が微笑むと、紫乃ちゃんも同じように笑ってくれた。
……あぁ、佐倉に会いたい。
「敦弥、教室戻るよ、俺。
またね、紫乃ちゃん。敦弥のこと置いていくからよろしくね」
「え、真白!?」
紫乃ちゃんから聞いた話を、少しでも早く佐倉にしたいんだ。