【完】音にならない“好き”をキミだけに。
「お邪魔します」
とりあえず、落ち着こう。
家の中に入ると、リビングに置いてある家族写真だったり、二階に繋がる階段の壁に貼ってある佐倉の写真だったり。
この前、俺がここに来た時にはこれらはなかったものだ。
多分、違和感があったのはそのせい。
“幸せな家族”っていう印象の強かった佐倉の家。それは、色々な場所に写真があって、それを見て俺はそんな印象を抱いたんだ。
「仲直りしたんだね」
「あ…、はい。加賀谷くんのお陰です」
写真の中の小さい頃の佐倉と、今、俺の目の前にいる佐倉の笑顔は一緒だった———。