【完】音にならない“好き”をキミだけに。
「俺の勉強ばっかり見てもらってごめんな」
毎回のことなので、申し訳なくて謝ると、
「わたしも復習になってるし、人に教えるともっと理解が深まるから大丈夫だよ!」
楓生は必ずそう言ってくれる。だから、甘えてしまうってこともあるんだろうけど。
楓生に教えてもらいたい俺は、その言葉に甘えてしまうのです。
「ありがとう…」
「どういたしまして」
俺も勉強頑張らないとな。
行きたい大学があるわけでもなければ、将来なりたい職業が明確に決まってるわけじゃない。
でも、楓生とのことがあってから、人の心のケアについて興味を持ったのは事実。
もちろんその道に進むことは簡単なことじゃないし、俺がなれるとも思ってないけど。
……誰かの役に、
苦しんでいる人を少しでも楽にさせてあげられるような人になりたいとは思う。