【完】音にならない“好き”をキミだけに。
そう思っていることを楓生にはまだ伝えていない。
俺の将来も、楓生の将来も、
まだお互いのことについて何も知らないんだと改めて実感。
俺と楓生の進路は違うだろう。
「…楓生は行きたい大学、あるの?」
この話をしてこなかったわけじゃない。
大体の学生が県内の高校に進むであろう高校受験とは違って、県外を視野にいれる大学受験。
“遠距離”って言葉が何度も俺の頭の中をかすめる。
「……」
楓生は言わないんだ。多分、決まってる道があるはずなのに。
いつも無言で笑うだけ。