【完】音にならない“好き”をキミだけに。
「嫌になったから反応してくれなかったの?」
「ちょっと、待って!
俺、別に紫乃ちゃんのこと嫌になったとかそんなの思ってないよ。反応しなかったのは、紫乃ちゃんが俺のこと呼ぶとは思ってもみなかったんです」
とうとう泣き出した紫乃ちゃんに、あわあわしながら人目の少ない場所に連れていく。
さすがに駅前で泣かれたら、困るといいますか…ね。
「本当に、本当に嫌になったりしてないから!」
「だって出て行ったじゃん…!」
「それはちょっと悲しかったから……」
こんな紫乃ちゃん初めてかもしれない。