【完】音にならない“好き”をキミだけに。


「でも、」


「俺は紫乃ちゃんが好きなんだよ!!」



……やってしまった。


もっと、かっこよく伝えるつもりだったのに。


叫んじゃったよ。

紫乃ちゃん、驚いて涙止まってるし。なにこれ、消えたい。


「……敦弥くん」

「お願い、何も言わないで、恥ずかしすぎる」

「嬉しい。ありがとう…」

「っ」

紫乃ちゃんの笑顔は、俺の心臓をいつか止めてしまうかもしれない。


「これ、チョコレート。
美味しくないかもしれないけど……」

「美味いから!紫乃ちゃんが俺のために作ってくれたってだけでそれはもうどんな高級チョコレートより美味しくなる!」

「…うん、愛情はたっぷり込めました」

あぁ、もう。

抱きしめて、いいですか———?



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