【完】音にならない“好き”をキミだけに。





「どうしよう」


「何でもいいだろ」

あれから数日経った日の放課後、俺は敦弥に1つの相談をした。


それは、俺と佐倉があと1週間で付き合って1年を迎えるから何をすればいいかということ。


ちなみに、ここは敦弥の部屋。


散らかった床に居場所を見つけて座るのは結構大変。


「何でもいいの何でもが思いつかないから、ここに俺がいるんだろ」


「だって、佐倉はお前が何かをしたってことだけですごい喜ぶと思うぞ」


「………」

俺もそう思います。


そう思うから余計難しいんだよ。


例えば俺がプレゼントを用意してなくても、佐倉は何も言わない。


デートをしなくても、佐倉は何も言わない。


だって現に、まだ記念日に遊ぶ約束をしていないのだから。


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