【完】音にならない“好き”をキミだけに。
*
「どうしよう」
「何でもいいだろ」
あれから数日経った日の放課後、俺は敦弥に1つの相談をした。
それは、俺と佐倉があと1週間で付き合って1年を迎えるから何をすればいいかということ。
ちなみに、ここは敦弥の部屋。
散らかった床に居場所を見つけて座るのは結構大変。
「何でもいいの何でもが思いつかないから、ここに俺がいるんだろ」
「だって、佐倉はお前が何かをしたってことだけですごい喜ぶと思うぞ」
「………」
俺もそう思います。
そう思うから余計難しいんだよ。
例えば俺がプレゼントを用意してなくても、佐倉は何も言わない。
デートをしなくても、佐倉は何も言わない。
だって現に、まだ記念日に遊ぶ約束をしていないのだから。