【完】音にならない“好き”をキミだけに。
俺のこと傷付けてるって分かんないのかな……。
と、思ったけどみんなが言ってることは本当のことで何も言い返せれないのが実際のところ。
「授業中にね、加賀谷くんのこと思い出して笑ってたら先生に怒られちゃった」
駅まで向かう帰り道、恥ずかしそうに顔を赤らめる佐倉を、俺は心から可愛いと思う…。
付き合って1年近く経つのに、俺のことを名前で呼ぶことが恥ずかしくて出来ない佐倉も、不意に手を握ればビックリして照れる佐倉も、全部全部可愛い。
俺も恥ずかしくて、佐倉のこと名前で呼べないんだけどね。
でも、こんな関係でいいんだ。
恥ずかしくて、慣れなくて、
俺の隣にいるキミが当たり前だなんて思わない。
そんな関係だからこそ、いいと思う。