【完】音にならない“好き”をキミだけに。
*
昼休み、敦弥との約束通り4人で弁当を食べるため、中庭へと来ていた俺。
そんな目の前に広がった光景に開いた口がふさがりません。
「紫乃ちゃん!」
「楓生先輩!」
何で名前呼び合う仲になってんの……。
佐倉が紫乃ちゃんのことを名前で呼んでたのは知ってたけど、まさか紫乃ちゃんが佐倉のことを“楓生先輩”と呼んでいるなんて。
俺でもまだ呼べないのに。
「紫乃ちゃんと仲良くなったんだって。
真白はいつまで佐倉なんでしょうね」
俺の考えてたことが分かったるのか、笑いながら言ってくる敦弥の足を蹴った。
痛そうにする敦弥を無視して
「佐倉、お弁当食べよ」
ちょっとだけ“佐倉”を強調して言った。
紫乃ちゃんも分かってるのか、笑ってた。