【完】音にならない“好き”をキミだけに。
しばらくすると、菫ちゃんが俺の方を見て
「楓生の彼氏さんですか?」
そう言った。
“彼氏さん”
あぁ、いい響きですね。
「あのお願いがあるんですけど、今週の週末佐倉を借りてもいいですか?」
「………」
え、いやダメでしょ。
普通に考えてダメでしょ。
だって週末は“記念日”ですよ。
「佐倉はいいって言ってくれたんですけど……」
「えっ、」
「久しぶりに中学校のメンバーで集まろうってなってて、男子もいるから一応許可もらおうかなって……」
「ちょっと待って、佐倉いいって言ったの?」
いきなり自分の方に話が来るとは思っていなかったのか、驚いたように俺を見た。